IMSグループ看護部TOP > オシゴトいろいろ 看護と介護 > がん看護専門看護師
専門看護師は、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して水準の高い看護ケアを提供できる、特定分野の知識・技術を深めた看護師を指す。現在13の分野があり、がん看護は1996年より認定開始。看護師の免許を持ち、実務研修5年以上、うち専門分野3年以上の者が、看護系大学院修士課程(2年)を修了後、認定審査を経て認定される。実践、教育、相談、調整、研究、倫理調整の6つの共通能力が求められる。
日本看護協会 資格認定制度
私は今、「がん看護専門看護師」として「緩和ケア内科病棟」と「慢性期内科病棟」で働いています。私が現在勤めている病院の緩和ケア内科病棟の入院患者さまは、主にがんの終末期を迎えた方で、常時10数名いらっしゃいます。当院でがん治療を受けた方ばかりでなく、大学病院やがん専門病院で積極的な治療を終えた後、住み慣れた地元に戻りたいと望み、紹介されてくる方もいます。
一人ひとりが異なる人生を生きてこられ、年齢も性別も価値観も、ご家族の思いもさまざま。専門的な知識に基づく高度な看護を実践するとともに、抱えておられる問題に寄り添い、解決に尽くすことが仕事です。
たとえば思春期のお子さんに、自分の病気をどのように伝えたらよいか迷っている乳がんの患者さまのケース。主治医とソーシャルワーカーの支援も得て、カンファレンス室にご家族を招き、ご本人の口から説明する場を設けました。がんと闘い、病気の受容に至るまでの心の軌跡と、家族への愛情を諄々と語られて、親子の絆を深めることができたように思います。
最期は自宅で看取りたいというご家族の希望を支援するのも役目の一つ。在宅でも痛みのコントロールや栄養補給が滞りなく行えるよう薬剤師、管理栄養士、理学療法士など多職種と協働して退院に備えます。地域の訪問看護師との連携や、当院の医師の往診体制も必要です。がん看護専門看護師は医療・福祉チームをコーディネートする縁の下の力持ちでなければなりません。
患者さまとご家族に、納得のいく日々を送っていただく。それが一番の願いです。
資格を示す認定証カード。5年毎に更新審査があり、常に知識のアップデートが必要
高校生のころ、私の夢は障害児教育に携わることでした。通学した小学校が障害児と共に学ぶスタイルを取り入れており、体が不自由であっても学ぶ意欲のある友だちが大勢いたので、皆の役に立ちたかったのです。母からは教育者のほか、看護師も支援学級の現場で必要とされているとのアドバイスもあり、結果、看護学を学べる大学に進み、看護学士の資格を取得しました。
卒業後、まず看護師として経験を積もうと親戚の勧めで現在勤めている当院を見学。地域社会にしっかり根を下ろしたアットホームな医療にすっかり魅せられ、迷うことなく入職しました。
転機は、外科病棟で多くの消化器がんの患者さまを担当したこと。命と向き合う中で課題がたくさん見つかり、より高度ながん看護を学ぶため休職許可をいただきました。故郷の県立大学の大学院を受験し、がん専門看護師の修士課程を修了。昨春復職し、日本看護協会の認定審査に合格したのは12月のため、新たなスタートラインに立ったばかりです。緩和ケア内科の医師のお手伝いができるよう、日々精進していきます。
本来、がんの緩和ケアは患者さまが告知を受けた瞬間から始まります。ショックから立ち直り治療に向かう勇気を持つ。自分に相応しい治療法を選択する。家族の理解と協力を得る。仕事と治療を両立させる。副作用を最小化する。脱毛や皮膚トラブルなど外見の変化を補完する…。さまざまな場面で、私たちのような専門的な知識を持つ医療従事者の、適切な介入が求められています。
当院でも地域の皆さまと共に、一歩一歩、緩和ケアの舞台を広げてまいります。どうぞ見守ってください
緩和ケア内科医師とのカンファレンス