IMSグループ看護部TOP > オシゴトいろいろ 看護と介護 > 看護専門学校副校長
医療のめざましい進化の中で、看護専門学校は、先端の知識・技術を含む、高度な教育を求められています。本校も厚生労働省の指導ガイドライン一部改正を受け、新カリキュラムを策定。さまざまな試みをスタートさせています。
1つは現場力を生かした人間教育です。真の看護は、患者さまを単に病人としてではなく、一人ひとり物語を持つ人間として向き合うことから始まります。したがって授業のコアとなるのは、医療機関へ出向いての実習です。コロナ禍のため、教員が模擬患者を演じる学内授業で代替する学校が多いのですが、本校はIMSグループの病院の支援を受け、実施に踏み切りました。
ワクチン接種済みであっても、無症状感染者としてベクターとなる可能性はゼロではありません。万全の感染対策を施し、参加人数と実習時間を絞るなど創意工夫は必須。しかしその“場”に身を置き、患者さまと触れ合って得られる実体験は、かけがえのないものです。「諦めない」熱意を事務方から教員、学生まで共有したことは、とてもよい刺激になりました。
国際看護教育にも力を入れています。日本で暮らす外国籍の方が増え、英語を学ぶだけではコミュニケーションが不十分。医療現場でも、文化や宗教観を尊重する姿勢が必要でしょう。近隣にインドの方々のコミュニティがあり、次年度からはじまる新カリキュラムでは交流授業をはじめます。サリーやターバンに看護師が手を触れたらどう感じるのか? 日本人の知らないタブーがあります。パンデミックが収まったら、ベトナムとハワイの海外研修も復活させる予定です。現地の病院視察のほか、ハノイのベトナム軍事歴史博物館や真珠湾を訪ね、歴史と向き合う機会も設けています。
試みの2つ目はICTの活用とシミュレーション教育です。特に解剖学修を体感するバーチャル解剖台「アナトマージテーブル」は画期的。等身大の画面にタッチすると皮膚が開かれ、骨格、臓器、血管・神経の組織構造まで自在に確認できますし、拍動や呼吸も観察可能。臨床例も豊富です。人体をリアルかつ系統だって把握できるでしょう。
座学の授業では、全員がiPadを持ち、ロイロノート(インターネットを使って学習支援を行うためのアプリ)を利用。教員と学生が瞬時に情報共有でき、意見交換も活発化。自ら課題を見つけ、考え、時に周囲と協同して答えを導くアクティブラーニングが定着してきました。仕事で困難と立ち向かう時、ここで養われた課題解決能力は大いに役立つはずです。
バーチャル解剖台「アナトマージテーブル」を囲んでの解剖学授業。2m以上あるテーブルは実物大の解剖画像を3D表示できる。タッチで自在に回転・切開・拡大縮小することができ、筋肉、臓器、骨格、血管・神経なども個別に表示可能
僕自身は看護師として臨床経験を14年。教職について12年です。高校時代に看護師を目指した動機は、「お金儲けのために人に頭を下げるのはイヤだけど、人の役に立つためなら下げられる」。IMSグループの板橋中央看護専門学校の卒業生です。
勤務先の緩和ケア病棟で、日野原重明先生と並ぶ日本の緩和ケア医療の第一人者、岡安大仁(まさひと)先生と出会い、岡安先生の勧めでニュージーランドの終末期医療を学ぶために留学。帰国後、緩和ケア認定看護師の資格を修得し、認定看護師として都内の病院で勤務しました。
教職に転じたのは、板橋中央看護専門学校の恩師の誘いです。どちらも尊敬する先達の真摯な言葉に背中を押されて、人生の方向が定まりました。
「人の役に立つため、働こう」。人にはそれぞれ使命があります。学生たちにとって、本校の学びと出会いが、その道標となることを願ってやみません。